「月光のつゝしみ」
作:岩松了
演出:岩井秀人
出演
松井周 能島瑞穂 上田遥 坂口辰平 永井若葉 平原テツ
09月20日[金] - 09月26日[木]@ KAAT神奈川芸術劇場大スタジオ
とうとう、これをやるときが来てしまった、と思ってる。
なんせ僕が自分で台本を書くようになった、そもそもの理由が、岩松さんのこの作品に詰まっているからだ。
だからつまり、今まで僕が色々作って来たことは、言ってみれば、この戯曲の周辺をウロウロ、またはこの戯曲の中の一節のある部分を超拡大、超分解してみていたのと、同じ様なことだ。
でも「パクリじゃん!」て言われたくないから、自分なりに、岩松さんに近づきすぎないように気をつけまくったことで、自分だけのものを見つけられたと思う。
なのでこの辺りでその、自分のルーツ的なものに、息継ぎなしで首を突っ込み、明らかにリミットオーバーになるところを、お見せしたい次第です。
社会、生活、自意識、女、血、等々を巡る、一部屋の中の世界です。
岩井秀人
この『月光のつゝしみ』は、地方の町で”できる姉弟”と言われた二人が、都会に出てきて”普通の姉弟”になっていた、そんな話を書こうと思って、戯曲を書く前の準備段階に入っていったのでした。姉弟は金沢で育ったということにしようと、金沢に行って貸し自転車を借りて、金沢の町をあっちこっち自転車で徘徊したのを覚えています。金沢にはお城があるから、そのことはそこで育った人たちに「ちゃんとしなきゃ」という精神構造を植えつけてしまうんじゃないかと勝手に思ってしまったんですね。行ってみたらお城は面白いことになっていました。そこらへんのことはまあ芝居を観てくだすって、はい。
それにしてもこの戯曲を岩井くんに演出してもらう日が来るとは!11年前まだ若造だった岩井くんは、この芝居の稽古場でボクの代役やってたんですから。出会いの妙と言いますか何と言いますか。そりゃ岩井くん照れたようにうつむくとはわかっていても言いますよ。「とても楽しみにしてるよ」
岩松了